賃貸管理でよくあるクレーム・トラブル6選
2020.06.25
今回は、賃貸管理会社の地震時の対応についてお話しします。
日本各地で地震が頻繁に起きているにもかかわらず、どこか他人事に感じており、全く災害時の準備をしていない管理会社も多いのではないでしょうか。
弊社、クラスコも例外ではなく、万全な災害準備を行なっていなかったため「令和6年能登半島地震」では大きな混乱が起こりました。
一歩間違えれば、収拾がつかない状況になっていたと感じています。
なかなか自分のことのように考えることは難しいかもしれませんが、日本に住んでいる限り地震は起こるものだと考えて対策することが本当に大切だと改めて感じました。
令和6年能登半島地震の経験が少しでも皆様の役に立てればと思います。
2024年1月1日の午後4時10分、突然能登半島を大きな揺れが襲いました。
クラスコ本社のある金沢市も大きく揺れ、この地震で金沢では震度5強が記録されました。
これまで体感したことのない大きな揺れで恐怖を感じたことを覚えています。
実際、現場では大きな被害がありました。
古い電気温水器は倒れ、水が漏れ、漏水しております。
給水関係の水漏れも多発し、水が使用できなくなりました。
また、建物の被害では、外壁のタイルが剥がれ落ち、大きくひび割れた箇所もありました。
多くの現場でいろんなものが上から落ちてきたり、ガラスが割れたりと一瞬で想像を絶するような状況になってしまいました。
上記の写真は、弊社の賃貸管理部の写真です。
賃貸管理部を引っ越しした際に打ったアンカーの打ち方が甘く、鍵ボックスが倒れてしまいました。
中には、設備器の鍵が入っていましたが、何がどの鍵なのか探すところから始まりました。
オフィスの方では2割ほどのモニターが落ちてしまい、ヒビが入ったり、一部黒くなり映らなくなったりという被害がありました。
震災が発生してからの1ヶ月で入電が5,600件ありました。
被災者のお部屋探しの来店は641件でした。
多くのお客様に足を運んでいただきましたが、この対応も膨大に来ますので全てに対応することが出来ません。
緊急性の高いものから順に優先順位を決め、役割を決めて対応にあたりました。
そして、被災して初めて分かったことですが、携帯の電波は来ていても、スタッフの携帯はお客様や業者さんとの連絡でなかなか繋がりません。
そこで役に立ったのはテクノロジーです。
スタッフとの連絡は特にGooglechatが役に立ちました。
そして、非常に役に立ったのはマニュアルです。
経験者が少なく、若いスタッフが多い中、水漏れの対応やクレーム処理の経験者が少ないことが現実問題としてありました。
しかし、マニュアルを使って対応するというオペレーションは非常に助かりました。
震災の支援活動においても、迅速に支援を開始し、仲介手数料を無料、対象物件の家賃を最大6カ月間クラスコが支払うというアナウンスを行いました。
Instagram、YouTube、TikTokで情報を拡散しましたが、特に旧TwitterであるXでのシェアが目立ちました。
結果として、7万を超えるビューを獲得し、「クラスコが支援している」というメッセージが広まりました。
その結果、被災した多くの方が来店されました。
現地点検は、点検アプリを使って行いました。
点検アプリのおかげで、普段は点検業務に携わらないスタッフも地震発生後の点検をスムーズに実施することができました。
どんどん格納していき非常にスピーディーに対応することが出来ました。
地震が発生してすぐに対策本部を設置しました。
そこで災害対応の特設サイトを開設し、電話の代わりにウェブからの問い合わせを可能にしたことで、非常時の連絡が大幅に改善しました。
「電話が繋がらない」という問題を避けるため、物件の入口にはサイトへのアクセスを促す二次元コードを掲示しました。
この措置により、スタッフは緊急性の高い案件に効率的に対応し、負担を分散させることができました。
また、自動音声案内やウェブでの自助対応の促進、被害の写真投稿フォームの設置なども行われ、コールセンターや本社への問い合わせを抑えつつ、迅速な対応が可能になりました。
入電時、自動音声で特設ウェブサイトへ案内を行い、緊急性の高いもののみコールセンターで受け付けました。
特設サイトにより、自動音声が低緊急性の問い合わせをウェブサイトへ誘導し、フォーム経由での情報登録を奨励するシステムが設定されました。
入居者は写真を添えて問い合わせを行うことができ、これにより迅速かつ効率的な対応が可能となりました。
また、緊急性の高い対応が必要な場合は、スタッフが直接駆けつける体制を整えましたが、スタッフは過負荷状態になっていたため、自助対応も推進されました。
保険対応については、入居者が直接保険会社と連絡を取るよう動線が設計され、迅速な対応が実現しました。
また、ウェブサイトを普段から利用しない入居者への周知のため、ポスティングや張り紙も実施しました。これらの措置により、クラスコは問い合わせ対応の効率と効果を大幅に向上させることができました。
コールセンターにもマニュアルを共有して一次対応をアウトソーシングしました。
これにより、コールセンターのスタッフも専門的なヒアリングを行い、社内のスタッフと同等のクオリティで問い合わせを完結できるようになりました。
ウェブサイトで解決できない緊急性の高い問い合わせにも効率的に対応できる体制を整えることができました。
これは、全体の問い合わせ対応の効率と質を大幅に向上させたと評価できます。
まず、1月3日から8日間で空室物件918件の点検を行いました。
この点検は2人1組で実施され、タイルの落下危険やその他の安全上の問題点を確認し、必要に応じてバリケードで危険箇所を囲いました。
全社員が参加する年次の清掃大会で使用している建物点検アプリ「きろくん」を活用し、普段点検業務に携わらないスタッフもスムーズに作業を行うことができました。
このアプリは地震特有の点検項目の追加も容易で、データは自動整理され報告書も即座に生成されます。
また、外壁点検には「がいへきんぐ」というアプリを使用し、1月16日までに管理物件の全点検を完了しました。
これにより、迅速かつ効率的な被害調査と安全対策が可能となりました。
クラスコは被災者支援として迅速に仲介手数料の無料化と対象物件の家賃を最大6ヶ月間負担すると発表しました。
この情報はInstagram、YouTube、TikTokを通じて拡散され、特に旧TwitterであるXでのシェアが多く、70,000を超えるビュー数を記録しました。
この広報活動により、「クラスコが支援している」との認識が広がり、多くの被災者が来店しました。
現場対応と来店対応に忙殺され、オーナー様と頻繁に連絡を取る余裕がありませんでした。
そのため、状況報告に動画を利用しました。
地震の影響や被災者の来店状況を撮影した動画を作成し、オーナー専用のLINEグループで共有しました。
書類を作成してプリントアウトし、郵送する時間もありませんでした。
動画を通じて迅速に情報を共有できたことは、大変効果的でした。
以上が災害対応のポイントです。
地震発生直後に開設した特設サイトは、クラスコの入居者マニュアル「たすけっと」の中に格納されています。
地震の発生時のマニュアルが全て載っています。
災害時はスタッフもなかなか駆けつけることが出来なかったり、来るまでに時間がかかる場合もありますので、お客様自身で解決できるようなマニュアルを作成しました。
地震発生から1ヶ月の対応件数は、
入電 5,600件
メール問い合わせ 1,138件
特設ページアクセス 28,721件
地震による修理案件の割合は、
ガラスやタイル、陥没などの外壁・共用部が12%
漏水、電気温水器の転倒、排水管修理などの水回りが24%
クロスのクラック、棚などの落下、ガラス破損などの内装が39%でした。
震災発生からのお部屋探し来店数(1月5日〜3月31日)
来店 3,258組
通常の繁忙期の来店も増加しましたが、来店のお客様の内、約1,000組が被災された方で、その約6割の方に申込みをいただきました。
被災者の住宅支援については、非常に複雑なフローがありましたが、最適なご提案ということで支援させていただきました。
震災発生からのお申込み件数(1月5日〜3月31日)
申し込み 2,076件
被災された方は地元に近い場所を要望されるが、物件が少なくなるため、お客様に様々な情報を伝えながら他のエリアの管理物件を紹介できたことが結果につながりました。
クラスコ管理物件の入居率は2024年2月時点で、過去最高の93.9%となっております。
クラスコでは、被災者対応のために効率的な対応フローを作成し、状況に応じて随時改訂を行っています。
お問い合わせは主にウェブを通じて行われ、特別チームが一次受付を担当しています。
また、被災者の移動支援のためにタクシー会社への支援依頼も行い、被災者の現状のヒアリングと同時に店頭スタッフへのメンタルケアも実施しています。
スタッフが使命感から休めなくなることを防ぐため、休みのシフトも計画的に作成しています。
さらに、社宅代行会社には随時情報を提供し、迅速な対応を確保しています。
【能登半島地震を経験して必要なこと】
1.防災時のマニュアル
2.設備の固定
3.システムの整備
これらの準備とシステムの整備により、いろんなトラブルに対応できる状況になるかと思いますので、ぜひ参考にしてください。
▼動画ではより詳しく解説していますので、ぜひご視聴ください。
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