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2025年不動産法改正まとめ|建築基準法・宅建法の要点を解説

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2025年不動産法改正まとめ|建築基準法・宅建法の要点を解説

2025年は不動産業界にとって転換期です。

不動産取引に関連する法律が複数改正され、不動産会社や業界関係者は、新たなルールに基づく業務運営が求められます。

今回は、2025年に施行される主な不動産関連法改正について、建築基準法や宅地建物取引業法(宅建法)を中心に解説します。

不動産業務を円滑に進めるために、法改正をしっかりと把握しましょう。

それぞれの法改正のポイントと、それらがどのように業務に影響を与えるかを詳しく見ていきます。


<目次>
2025年 宅地建物取引業法施行規則の改正ポイント
 レインズ登録事項の追加
 宅建業者票の記載事項変更
 従業者名簿の変更
2025年 建築基準法改正の概要
 4号特例の縮小
 二級建築士の業務範囲の拡大
 省エネ基準の適合義務化
2025年 住宅セーフティネット法改正のポイント
不動産業者が取るべき対応
 社内体制の整備
 顧客への説明
 DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用
まとめ


2025年 宅地建物取引業法施行規則の改正ポイント

2025年1月1日より施行される宅地建物取引業法(宅建法)により、不動産取引の透明性が高まるとともに、業者の責任や義務も一層厳格になります。


レインズ登録事項の追加

2025年1月1日から、宅建業者が媒介する物件に関して「取引の申込みの受付状況」をレインズ(不動産流通機構)のデータベースに登録することが義務化されます。

これまで、専任媒介契約を結んだ場合、業者は物件の登録を行うことが求められましたが、取引の進行状況や申込みの状況をさらに細かく記録し、公開することが求められるようになります。 

この改正の目的は、「囲い込み」行為の防止です。

囲い込みとは、売主と買主の間で取り引きが成立しないよう、情報を隠したり遅らせたりする不正行為です。

取引申込状況をレインズに登録することにより、物件の取引状況が明確になり、業者間で取引の進捗を把握できるようになります。これにより、物件に関する正確な情報が得られるようになり、取引の重複を防ぐことが可能となります。


宅建業者票の記載事項変更

2025年4月1日から、宅建業者票に記載する内容が変更されます。

具体的には、「専任の宅地建物取引士の氏名」が「専任の宅地建物取引士の数」に変更され、法人の宅建業者に限り「代表者氏名」の記載も新たに求められるようになります。

(※個人事業者の場合、従来通り代表者=宅建業者本人のままです)

この改正により、業務体制の透明性が高まり、顧客に対する責任の所在がより明確になります。

不動産業者が配置する宅地建物取引士の人数を明示することで、業務の品質と信頼性向上が期待され、顧客にとっても、どのような人員体制で業務が行われているかを把握しやすくなり、安心して取引を進めることができるようになります。

不動産業者にとっては、宅建業者票の様式変更に伴い、必要な情報を正確に記載する体制の見直しが必要です。

誤記や不備があると、行政指導や取引への支障が生じる可能性があるため、早期に対応策を講じることが求められます。


従業者名簿の変更

また、2025年4月1日から、従業者名簿に記載する内容が変更されます。

これまで「生年月日」や「性別」を記載する必要がありましたが、この項目が削除され、「氏名」「業務の内容」「勤務先の部署名」などの基本情報が記載されることになります。

個人情報保護の観点からプライバシーが強化されることとなります。 

従業者名簿の変更は、個人情報の取り扱いをより厳格にすることを目的としており、特に性別や生年月日などのプライベートな情報を取り扱うことなく、業務に必要な基本的な情報のみを記載することが求められます。

不動産業界における個人情報の漏洩リスクを低減させることができますが、従業者名簿の記載内容の変更に伴い、内部でのデータ更新作業を計画的に行う必要があります。

また、従業員の個人情報が適切に管理されるよう、社内の情報セキュリティ対策を強化しておくことも重要です。


参考リンク:宅建業法施行規則の改正概要(国土交通省)


2025年 建築基準法改正の概要

2025年4月1日より、建築基準法に関する複数の改正が施行され、不動産・建築業界における設計・施工の実務に大きな影響を及ぼします。

今回の改正は、「安全性」「環境配慮」「業務の適正化」をキーワードに、建築確認制度の見直し、省エネルギー性能への対応強化、建築士制度の見直しが主な柱となっています。


4号特例の縮小

特に注目すべきは、「4号特例の縮小」です。

これまで、比較的小規模な木造戸建住宅などの「4号建築物」に対しては、建築士が設計すれば構造や設備に関する審査が省略される(確認申請の審査が簡略化される)特例措置が適用されていました。

しかし、2025年4月1日以降は、一定の条件に該当する4号建築物にも構造審査が義務付けられるようになります

この見直しは、過去に発生した耐震性不足や施工不良といった問題を踏まえ、安全性と設計品質の確保を目的としています。

適用範囲や運用方法については特定行政庁の判断によって一部異なる場合があるため、事前の確認が必要です。

詳しい内容については、以下の記事もご参照ください。

参考リンク: 4号特例がなくなる?建築基準法改正をわかりやすく解説(満室の窓口)


二級建築士の業務範囲の拡大

2025年の建築基準法改正により、二級建築士が設計できる建物の範囲が拡大されます。

これまで制限のあった一部の建築物について、今回の改正では「3階建て以下」「高さ16m以下」の建築物であれば、より幅広く設計を担当できるようになりました。

改正により、設計の選択肢が広がり、地域の中小規模建築プロジェクトにも柔軟に対応しやすくなります。

ただし、病院や劇場、学校などの特殊建築物や、大規模な用途に該当する建築物は、引き続き一級建築士でなければ設計できません

すべての建築物が対象となるわけではないため、用途や規模に応じて必要な設計資格の確認が重要です。


省エネ基準の適合義務化

2025年4月1日からすべての新築建築物に対して、省エネ基準の適合が義務付けられることになります。

これまでは、住宅に関しては延べ面積300㎡以上など、一定規模以上の建物が対象でしたが、今回の法改正により、住宅・非住宅を問わず、すべての新築建築物が対象となります。

エネルギー効率の高い建築が業界全体で求められるようになり、長期的には光熱費の削減や環境負荷の低減が期待されます。

今回の改正により、「建築物省エネ法」に基づく適合義務制度への一本化が行われ、「省エネ性能に関する説明義務制度(努力義務)」は廃止されました。

建築主・設計者・施工者は、省エネ基準への適合確認を前提とした設計・確認申請の準備が必要です。


参考リンク:建築物省エネ法の改正に関する報道発表資料(国土交通省)


2025年 住宅セーフティネット法改正のポイント

2025年10月1日施行予定の改正住宅セーフティネット法は、高齢者や低所得者などの「住宅確保要配慮者」が安心して賃貸住宅に入居できるよう、福祉と住宅政策を連携させた新たな仕組みを導入します。

主な改正ポイントは以下の3つです。


1. 大家さんと入居者の不安を軽減する仕組み

終身建物賃貸借契約:入居者が亡くなるまで賃貸契約が続く仕組みを導入し、大家さんの不安を軽減します。 

残置物処理の円滑化:入居者が死亡した際の部屋の片付けを、居住支援法人が代行できるようにし、大家さんの負担を軽減します。 

家賃債務保証の利用促進:要配慮者向けの家賃保証会社を国が認定し、滞納リスクを軽減します。


2. 入居中の見守りと福祉支援の強化

居住サポート住宅の創設:居住支援法人が安否確認や生活支援を行う住宅を新たに設け、生活困難者の支援を強化します。

生活保護受給者への家賃代理納付:家賃の支払いを福祉事務所が直接大家さんに行う仕組みを原則化し、滞納リスクを減らします。


3. 地域での支援体制の強化

居住支援協議会の設置促進:市区町村に居住支援協議会の設置を促進し、地域全体での支援体制を整備します。 

住宅と福祉の連携強化:住宅政策と福祉政策を一体的に進め、要配慮者の住まいの安定を図ります。


参考リンク:住宅セーフティネット制度(国土交通省)


不動産業者が取るべき対応

不動産業者は、2025年の法改正をしっかりと把握し、適切に対応することが求められます。

ここでは、不動産業者が取るべき具体的な対応策を3つ解説します。


社内体制の整備

法改正によって、新たな手続きやルールが増えるため、社内の業務フローを見直します。

特に、レインズへの登録義務や新しい確認申請手続きなどに対応するために、業務がスムーズに進むように体制を整えます。

また、全員に対して法改正の内容をしっかりと理解させるために、研修を実施し、社内全体での理解を深めることが大切です。


顧客への説明

法改正が顧客にどのように影響するかをしっかり説明しましょう。

たとえば、省エネ基準が変わることを説明し、顧客にどんなメリットがあるかを伝えることで、信頼を得ることができます。

また、変更点に対する疑問や不安を解消するサポート体制も大切です。

法改正は、顧客の取引に直接的な影響を与える可能性があるため、顧客に対して変更点を分かりやすく説明し、不安を解消します。

省エネ基準の適用や取引情報の透明化など、顧客にとってはメリットがある一方で、新たな手続きや基準への理解が求められます。

法改正による影響をきちんと伝え、顧客からの質問にも丁寧に対応することが信頼関係を築くための一歩です。


DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用

最後に、DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用です。

法改正に伴い、取引情報の管理や書類手続きが増えるため、デジタル化を進めることで業務の効率化が可能になります。

例えば、レインズへの登録や省エネ基準の確認作業は、デジタルツールを活用することでスムーズに進めることができます。

ペーパーレス化やシステムの自動化を進めることで、業務のミスを減らし、迅速かつ正確な対応が可能になります。


まとめ

2025年に施行される不動産関連法の改正は、業界全体にとって大きな転換点となります。

宅地建物取引業法では情報公開と業務の透明性が強化され、建築基準法では安全性や省エネ性能への対応が求められます。

さらに、住宅セーフティネット法の改正により、福祉との連携を強化し、要配慮者への住まいの提供体制が大きく変わります。

不動産会社にとっては、この改正に的確に対応することで、顧客の信頼を得るとともに、事業の持続可能性や社会的役割を高めることができます。

法改正の内容を正しく理解し、社内体制の見直しや顧客への丁寧な説明、そしてDXの推進を通じて、変化する市場に柔軟に対応していきましょう。


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